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フランス語の認知動詞 comprendre における可能標識の共起をめぐって ——無標識可能と有標識可能に関する一考察
Yoshitake, Daiki
2022Société Japonaise de Linguistique Française (340e session)
Peer reviewed
 

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Abstract :
[ja] フランス語の動詞 comprendre は「理解」を意味する認知動詞であり、Vendler (1957) によって称されるところの到達動詞 (verb of achievement) に分類される。本研究では、この動詞 comprendre に pouvoir や arriver à inf. といった可能標識が共起しやすい条件 (有標識可能表現) ならびに可能標識が共起しにくい条件 (無標識可能表現) を明らかにする。 無標識可能表現はフランス語学以外の個別言語学においても度々議論される現象であり、フランス語学では Le Querler (1989) によって知覚動詞 voir における法動詞 pouvoir の共起が分析された。Le Querler (1989 : 75) および Vendler (1957 : 148) によれば、意志的な動作を表す動詞では有標と無標の間で意味的に大きな隔たりができるのに対して、知覚や認知といった非意志的な動作を表す動詞では一定の条件下で等価性 (équivalence) が保たれることが多いという。ただし、知覚動詞と認知動詞はしばしば分類上混同されることがあるものの、Lemaire (1999 : 14) によれば、認知は知覚を内包するものであり知覚よりも高次の能力であるという。動詞 comprendre が意味する「理解」という行為は、知覚動詞が表すものとは異なり、一般的に「努力」を伴うものであるため、困難性 (difficulté) の意味合いを表出する法動詞 pouvoir (cf. Boissel & Devarrieux 1989 : 61) が共起しやすいように思われる。しかしながら、実際の使用では、« Ils ne comprennent pas, ils ne peuvent pas comprendre ! » (Roger Martin du Gard (1992) LE CAHIER GRIS) のように、知覚動詞と似たような振る舞いが見受けられる。 本研究では、FRANTEXT (フランス語書き言葉データベース) を一次文献として使用し、現代フランス語 (19世紀-21世紀) における有標識の動詞 comprendre と無標識の動詞 comprendre の文脈的差異を観察した。その結果として、動詞 comprendre に可能標識が共起する頻度は約5%であり、可能標識が共起しない頻度はおよそ95%であった。 第一に、有標識可能表現では法動詞 pouvoir が約70%を占めた。法動詞 pouvoir が共起する文脈として、困難性が言語表現によって明示されている文脈・修辞疑問文・怒気が表出される文脈・可能行為 (可能標識の補語) が画定される文脈・可能主体 (動詞 comprendre の主語) が画定される文脈が多いということが明らかになった。このことから、動詞 comprendre に共起する法動詞 pouvoir の用法の多くは、van der Auwera & Plungian (1998) によって称されるところの意味効果 (effet de sens) を発するポストモーダル用法 (emplois postmodaux) であると言える。 第二に、無標識可能表現では、à l’instant や tout de suite といった瞬時性を表す副詞的表現が共起しやすいことがわかった。 時制に関しては、無標識可能表現では現在時制と過去時制の大きな頻度差は見られなかったものの、法動詞 pouvoir による有標識可能表現では現在時制に頻度の偏りが見られた。
Research Center/Unit :
Tokyo University of Foreign Studies
Disciplines :
Languages & linguistics
Speaker :
Yoshitake, Daiki  ;  Tokyo University of Foreign Studies
Language :
Japanese
Title :
フランス語の認知動詞 comprendre における可能標識の共起をめぐって ——無標識可能と有標識可能に関する一考察
Alternative titles :
[fr] La cooccurrence des marques de potentialité avec le verbe de cognition 𝘤𝘰𝘮𝘱𝘳𝘦𝘯𝘥𝘳𝘦 en français : réflexion sur le verbe marqué et non marqué
Original title :
[ja] フランス語の認知動詞 comprendre における可能標識の共起をめぐって ——無標識可能と有標識可能に関する一考察
Publication date :
24 September 2022
Event name :
Société Japonaise de Linguistique Française (340e session)
Event organizer :
Société Japonaise de Linguistique Française
Event place :
Kyoto, Japan
Event date :
September 24, 2022
Audience :
International
Peer reviewed :
Peer reviewed
Name of the research project :
Diachronic Study and Systematic Analysis of Unmarked and Marked Potential Expressions in French
Funders :
JST - Japan Science and Technology Agency
Funding number :
JPMJFS2110
Funding text :
Research Fund of the University Fellowship Program for the Creation of Innovation in Science and Technology : Multi- and Inter-cultural Research and Innovation Fellowship (MIRAI) Program (Research Activities at the Tokyo University of Foreign Studies)
Available on ORBi :
since 12 September 2024

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